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佐々木塾ブログ : 2014年11月

麻布中学(国語)その1

 数年前国立で塾を初めて少しした頃の話です。6年生になったばかりの A君が「麻布に行きたいが,国語の記述で点が取れないので上げたい」と言われたときお安い御用と二つ返事で引き受けました。面接したときのAくんの印象がとてもよかったからです。その年齢なり落ち着きがあり、5年生にして彼のような人が人の上に立つ仕事の付けば、日本も安泰だと思わせるような人です。
 引き受けたあと麻布中学の過去問を見て、少々びっくりしました。私はそれまで大学受験を専門に教えてきました。不徳の至ですが、中学受験は素人に毛の生えたようなものだったでしょう。中学受験でここまで記述を要求している学校があることを知って驚きました。大学受験でも一部の国立を除いては(一橋はオール記述ですが、麻布よりは記述量が少ない)こんなに記述は多くはなかったのです。私大はほぼ選択問題が大半で、お茶を濁す程度に記述があるのが現状です。安請け合いをしたかなと内心引き受けたことを後悔しました。前の年一橋大受験でシャドウワーク(教える前に予習すること)にさんざ苦しめられていたせいもありますが、中学受験でまたシャドウワークに苦しめられることになるとは・・・。
 引き受けた以上A君をなんとか合格まで導くのがプロの仕事です。それから一週間過去問と首っ引きで対策を考えました。麻布の問題で総じて言えることは、本格的な国語力ーあるまとまりのある分量を読みこなし、その結果を自分なりの記述することが求められているということです。漢字や文法、段落分けや指示語の説明がいくら出来ても麻布では歯が立ちません。出題文の内容や、登場人物の心情、語句や理由の説明を100字程度で書かせる設問が出ています。
 入試まであと1年今から過去問を始めても早すぎます。麻布から一回離れもう少し自由な勉強をするのはどうだだろう。幸いA君は漢字、四字熟語、文法などはほぼ完成の域にありました。普通の模試では安定して60以上は取れているとのことでした。しかし麻布の問題だけは歯が立たないと感じるとのことでした。
 私は二つの秘策を考え出しました。ひとつは4コマ漫画「コボちゃん」を文章化することです。コボちゃんは起承転結のはっきりてしていて、子どもでもその内容が理解できる漫画です。ただオチまで含めて150字程度で書くとなると少々骨の折れる作業になります。A君ははじめこそ4コマを絵に頼って説明しているだけでしたが、2ヶ月もするとオチも含め4コマ全体の流れを見通した書き方ができるようになってきました。3ヶ月目からは「コボちゃん」の量を減らし、朝日新聞の「声(読者の投書欄)」欄を材料とした新しい作業を加えました。まず見出しを切り取った投書を渡します。12文字くらいで、見出しを付ける。それから投書の内容吟味し、自分ならこう考えるという文を150字くらいで書いてもらうことにしましました。「コボちゃん」で全体としてまとまりのある文章を)書く訓練を、「声」でひとつのテーマにつき自分の意見は投書主と同じか違うか、そしてそれはどうしてかを書いて考える訓練を続けました。これを9月まで続けました。
 ここまでAくんの親御さんには10月まで国語の成績は目をつぶって欲しい、そのかわり10月すぎは目覚しい伸びが期待できる旨を繰り返し納得していただきました。目の前の成績で一喜一憂するのが普通の親御さんですが、A君同様人格者でいらっしゃって私を信用してくださって、国語の成績のことはほとんど口に出されませんでした。逆に私にはプレッシャーではありましたが。信頼にこたえるためにA君をどうしても麻布に入れねばと思うようになっていました。

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